NO.0079 伊礼智設計室 布田の家 東京都調布市 OMソーラー

POINT

伊礼智さん設計の2世帯住宅です。北側玄関から南の土間まで、家の中を黒色窯変瓦を敷き詰めた土間が通る「通り土間のある家」です。いろいろな役割を果たしてくれる土間に是非注目してください。

設  計 → 伊礼智設計室
建物概要 → 敷地面積 227.12㎡(68.72坪) / 建物延床面積 161.94㎡(49.00坪)
主な仕上 → 外部 ジョリパット吹き付け・ガルバリウム鋼板
内部 (天井)エマルジョンペイント(EP) 薩摩中霧島壁・EP (床)赤松・パイン材
完成 → 2005年3月

外観

土間

リビングダイニング

デッキ

リビングダイニング

和室

家づくりは人との出会い

照美さんから寄稿の依頼を受け、さて何を?と思案したが、やっぱり家づくりは人との出会いを語らずしてはいられない。

まずは、照美さん

 出会いはもう数年前。家づくりのさまざまなプロセスの中から相羽建設さんを知る。せっかくの家づくりだから何かエコロジーに取り組みたい。でも「ハンドリングユニットの音うるさいかな」、「すっぴんの家って質素すぎないかな」と考えていた頃、若き(ごめん)照美さんが我が家へ飛び込み営業。何を話したかよく覚えてないけど、彼女の元気よい受け応えと、夕飯を誘うと「生春巻き美味しいですねえ」という飾らない仕草に強い印象を受ける。今思うとこれが運命的な出会いだった。
 設計中は「そういうことをするとお金かかりますよ。割り切りが大事です!」と何度聞いたことか。夢を断ち切るその発言に「キビシイなあ・・・」と内心思ったけれど、結果的にそのアドバイスで何とか工事費がまとまったことに今、感謝。そして今、立派な営業ウーマンに成長されていたことに敬意。

次に、照美さんのお父さん

モデルハウスに行ってみようと(こっそり)出かけたものの、場所がよくわからず、相羽建設さんへ電話。出た方はお母さんらしく「今ね、照ちゃんいないんですよ」と。そのあと「照ちゃんいないから私が案内します」と男性の声。これが社長の正さんとの出会いだった。夫婦2人で「ずいぶん家庭的な工務店さんだね」と話しをしながらソーラータウンに到着して社長さんから説明を受ける。特に、開発道路の突き当たりにあるシンボルツリーについて熱心に話されていたことが記憶に残る。環境に配慮している方なのだなと 。

伊礼さんとの出会い、そして美らちゃんの事

 目白の事務所を訪ねると、早春の日差しの中、温かみのある雰囲気に安心感。打合せが終わりかけると缶ビール。家づくりのこと、竹富島のことなどで話も弾む。私の母は沖縄出身、妻も結婚してから沖縄フリークになっていた。担当の松長さんも沖縄出身。打合せ中はいつも笑顔で私たちは「美らちゃん」と勝手に呼び始める。先に言うけど「美らちゃん図面150枚もつくってくれてありがとう」。
 周囲が畑である環境から、伊礼さんは開口一番「洗濯物を干すところ考えないといけないですね」。この一言で妻は、生活を理解している方なのだと好感触。私たちの要望が次々に図面化。不思議だったのは土間。使い勝手についてはあまり議論ないまま普遍的なものとして平面図の中心に位置し続けた。これから使い方をじっくり楽しみたいと思う 。

家づくりは、女の執念・・?

 もちろん、家づくりの最中は家族についても再発見。ミーレ?、グローエ??、ガゲナウ???、AEG????。次々とキッチン研究に勤しむ妻。東京にあるショールームはほとんど歩き尽くしたみたい。最後はメーカー主催のお料理教室に参加して決断、すごい執念。建築中は電気製品、家具、ふとんの研究。狭い我が家に雑誌とカタログの山ができた。そして竣工した今、インテリア雑貨の研究が進行中。たぶん、著名インテリアプランナーに負けないスキルをこの一年で身につけたにちがいない。
 和室については母のこだわり。お茶室としても使うため、様々なディテールを要望。「床の間天井の蛭釘は北寄り1/3・・・」、「中釘は立面の対角線上を基本に床から113cm・・・」、「炉縁とたたみのすり合わせに気をつけて・・・」などなど。母とは40年近く付き合っているけど、こんなにこだわりの人であったことをはじめて知る。
 いつも「このくらいでいいかな」という妥協に慣れてしまっていた私は、女性陣の飽くなき探究心と執念に脱帽である。

棟梁の秋山さん

  設計の最中、伊礼さんから相羽さんには「天才大工がいる」との話を伺う。是非秋山さんにお願いしたいと、棟梁の予定に合わせて急いで契約。上棟式の日「出来上がりを見てもらえばわかります」と渋い一言。「有言実行」、秋山さんの技術と感性がいっぱい詰まった家ができあがる。父は、秋山さんがつくってくれた「ゆうじろり」(囲炉裏)で一杯やるのを今から楽しみにしています。

そして監督の早川さん

  地鎮祭のときの「エイ!エイ!」という声の大きさに驚いた。「木造が好き」、「今回は和室があるから楽しみっすよ」という飾らない物言いに、この人なら任せて安心と直感する。妻や私の他、日に3度は現場を見に行く父など、さまざまな関係者にお付き合いしてくれてありがとう。「丸窓のステン枠」きれいに納まりました。感謝してます 。

もう紙面が足りなくなってきた

  秋山組の若手大工親川くん、たけちゃん。小林土木の皆さん。子供たちに人気の電気の野田さん。建具の親方、ひできさん。左官屋さん、タイル屋さん、造園の角田さん、設備工事の皆さん・・・。多くの方々の力が結集してこの家ができたかと思うと感無量です。特にベテランと若い方のバランスの良さ、伊礼さんそして相羽グループの職能集団に敬服しました。
上棟式の日、朝5時に起きてお赤飯を炊いてくれたもう一人の母、黙って庭の水やりを楽しんでいるもう一人の父、見守っていてくれてありがとう。
ホントは照美さんからは、「土地の選定、家づくりのプロセスなど書いて下さいね」と頼まれましたがこのような作文になってしまいました。出来上がった建物については実際にご覧いただければわかると思うので・・・どうぞお許し下さい。
照美さん、今度は新しい家で一緒に「生春巻き」つくりましょう、もちろんご家族ご一緒に。秋山さん、例の「もつ煮」で一杯やりましょう。伊礼さん缶ビール冷やして待ってます。皆さん末永くお付き合いをよろしくお願いします。ありがとうございました。

間取り

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